【体験談】地域と繋がるワーケーション:古民家・ゲストハウスで体験した交流のリアル
ワーケーションに「地域との繋がり」という新しい視点を
リモートワークが日常となり、場所を選ばずに仕事ができるようになったことで、ワーケーションへの関心は高まっています。多くの方が、非日常の場所で気分転換を図りながら仕事の生産性向上やリフレッシュを目指されていることと思います。リゾートホテルや温泉旅館、コワーキングスペース併設施設など、多様な選択肢がありますが、今回は少し趣向を変え、「地域との繋がり」に焦点を当てた私のワーケーション体験をお話しさせていただきます。
都心でリモートワークを続ける中で、仕事以外の外部との接点が減り、閉塞感を感じることがありました。「新しい環境で仕事をする」だけでなく、「その土地の人々と交流し、地域に溶け込むような体験をしてみたい」という思いが芽生え、地域との繋がりを大切にする古民家やゲストハウスでのワーケーションを計画しました。
なぜ古民家やゲストハウスを選んだのか
ワーケーション先として古民家やゲストハウスを選んだ最大の理由は、地域住民の方々や他の滞在者との自然な交流が生まれやすい環境だと考えたからです。大規模なホテルとは異なり、運営者さんとの距離が近く、アットホームな雰囲気が魅力です。また、その土地の文化や暮らしに触れる機会が多いのではないかと期待しました。
今回私が滞在したのは、ある地方の小さな集落にあるリノベーションされた古民家ゲストハウスです。仕事スペースとしては、共有のリビングルームや個室が利用可能でした。
リアルな仕事環境と周辺環境
古民家ゲストハウスでの仕事環境は、ホテルやコワーキングスペースとは異なります。
- ネット環境: 事前に確認した通り、Wi-Fiは完備されていましたが、都心のような高速回線ではない場合もあります。ビデオ会議なども問題なく行えましたが、時間帯によっては少し不安定になることもありました。重要なオンラインミーティングがある場合は、事前に回線速度をテストしたり、予備の通信手段(テザリングなど)を用意しておくと安心です。
- 作業スペース: 共有のリビングルームには大きなテーブルがあり、他の滞在者や運営者さんと顔を合わせながら作業ができます。個室にもデスクはありましたが、集中したい時は個室、少し気分を変えたい時や他の人と話したい時はリビング、というように使い分けました。
- 電源: 作業スペース周辺には十分な電源タップがありましたが、個室によっては限りがある場合もあります。延長コードや電源タップを持参すると便利です。
周辺環境は、まさに地域の中に溶け込むような体験でした。朝は近くの畑から聞こえる鳥の声で目覚め、仕事の合間には集落内を散歩したり、近くの小さな商店に立ち寄ったりしました。これが、私の求めていた「地域に触れる」感覚でした。
地域との交流で得られた具体的な体験
今回のワーケーションで最も価値があったのは、地域の方々や他の滞在者との交流です。
- ゲストハウス運営者さん: 地元出身の方が運営されており、集落の歴史やおすすめの場所、近所で採れる旬の野菜について教えていただきました。地域のイベント情報を教えていただき、実際に参加することもできました。
- 地域のお店: 近くの個人経営の喫茶店や商店に立ち寄ると、店主さんが気さくに話しかけてくださり、その土地の日常の何気ない会話を楽しむことができました。「どこから来たの?」「何日くらい滞在するの?」といったシンプルな会話から、地域の温かさを感じました。
- 他の滞在者: 私以外にも、それぞれ異なる目的で滞在している方がいました。フリーランスのデザイナー、ライター、写真家など、皆さんリモートで仕事をされている方ばかりでした。夜はリビングルームで一緒に食事をしたり、それぞれの仕事やワーケーションの話で盛り上がったりしました。普段、同業者と直接話す機会が少ないため、情報交換ができる貴重な機会となりました。
こうした交流を通じて、ガイドブックには載っていない地域の魅力や、そこに暮らす人々のリアルな声に触れることができました。これは、単に観光地を巡るだけでは得られない、深く心に残る体験です。
仕事と交流・地域体験のバランス
「地域交流」を目的の一つとするワーケーションでは、仕事と交流・地域体験のバランスが重要です。私は、午前中は集中して仕事に取り組み、午後の早い時間帯や夕方以降に周辺を散策したり、地域の方と話したりする時間を設けるようにしました。
無理に毎日交流の機会を作ろうとするのではなく、自然な流れに任せるのが心地よく過ごすコツだと感じました。例えば、仕事の合間に気分転換で散歩に出かけた時に立ち寄った場所で交流が生まれたり、夕食時に他の滞在者と一緒になったり、というように、予定を詰め込みすぎず柔軟に対応しました。
失敗談? 交流を期待しすぎること
今回のワーケーションは多くの学びがありましたが、あえて「失敗談」に近い点を挙げるとすれば、初めは少し「交流しなければ」と気負いすぎてしまったことです。せっかく地域に来たのだから、と積極的に話しかけようとしすぎて、少し疲れてしまった時期もありました。
しかし、滞在が進むにつれて、無理に作る交流ではなく、日々の生活の中で生まれる自然な繋がりを大切にする方が、より心地よいことに気づきました。挨拶を交わすこと、感謝を伝えること、そうした小さな積み重ねが、その地域の一員になったような感覚を与えてくれたのです。
こんな方におすすめしたい「地域と繋がるワーケーション」
私の体験から、「地域と繋がるワーケーション」は特に以下のような方におすすめしたいと感じています。
- 都心のリモートワークで閉塞感を感じている方
- 単なる場所移動ではなく、地域文化や人々の暮らしに深く触れたい方
- 新しい刺激やインスピレーションを求めているクリエイターや専門職の方
- ワーケーションを通じて孤独感を解消したい、他のリモートワーカーや地域の方と交流したい方
- 古民家やゲストハウスの雰囲気が好きな方、多様な人々との交流に抵抗がない方
もちろん、プライバシーを重視する方や、完全に一人で集中したい方には、個室がしっかり確保できる施設を選ぶか、別のタイプのワーケーション先を検討する方が良いかもしれません。
ワーケーションは多様な可能性を秘めている
今回の「地域と繋がるワーケーション」は、仕事をする場所を変えるだけでなく、自分の内面や価値観にも新しい気づきを与えてくれる体験となりました。生産性の向上はもちろんのこと、地域の方々の温かさや、他者との交流から得られる刺激は、リモートワーカーにとって非常に価値のあるものです。
初めてワーケーションを検討されている方で、単なるリフレッシュだけでなく、何か新しい繋がりや体験を求めているのであれば、ぜひ古民家やゲストハウスなど、地域との接点が多い場所を選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。きっと、仕事だけでなく、人生そのものに豊かな彩りを与えてくれることと思います。この記事が、皆様のワーケーション先選びの参考になれば幸いです。